医師インタビュー

小児科 目に見えない子供の腎臓病 DOCTOR’S INTERVIEW 小児科 目に見えない子供の腎臓病 DOCTOR’S INTERVIEW

DOCTOR
PROFILE
小児科 部長 永井 琢人 TAKUHITO NAGAI
出身大学 |
  • 浜松医科大学医学部 卒業
資格など |
  • 医学博士
  • 日本小児科学会 小児科専門医/指導医
  • 日本腎臓学会 腎臓専門医/指導医
  • 臨床研修指導医
  • 緩和ケア研修会修了
  • 日本移植学会 移植認定医
  • 日本臨床腎移植学会 腎移植認定医

3歳児検診や学校検尿で再検査判定を受けたらどうしたらよいですか?

検診では、尿中に蛋白がおりてきていないか、尿に血が混じっていないか、糖が出ていないか、などの簡易的なスクリーニング検査を行っています。
これらの項目は何かしらの病気を知るための第1歩となり重要ですので、放置しないでください。
検診異常の患者さんが受診される場合には、必ず子どもの「腎ぞう専門医」の診察日に、朝一番に採った尿を持参の上ご来院いただき、精度の高い尿検査を実施します。
尿検査などで異常があった場合、採血や超音波検査を行い、どのような病気が隠れているか、「腎ぞう」に原因があるかなどの判断をしていきます。超音波検査では「腎ぞう」や膀胱・尿管の形の異常の有無を評価します。

くわしい検査をすると、どんな病気が見つかるのですか?

最も多いのは、体位性蛋白尿と良性血尿です。これらは経過観察の場合がほとんどです。しかし中には先天性や遺伝性の病気の場合もあり、代表的なものとして以下のものがあります。

1.先天性腎尿路異常(CAKUT)

これは超音波検査で見つかる場合があります。腎と尿路系の形成異常で完治はありません。尿路感染症になることもあり、異常に合わせた経過観察が必要となります。

2.アルポート症候群

主に遺伝性の病気です。女の子の場合は軽症であることが多いですが、男の子の場合には重症となることが多いです。将来的に腎不全となる場合もあります。

上記のほかにも、IgA腎症、紫斑病性腎炎、小児特発性ネフローゼ症候群などがあり、「腎ぞう病」以外にも膠原病(全身性エリテマトーデスなど)・糖尿病(1型)などが見つかる場合があります。子どもの「腎ぞう専門医」にかかることで、病気を早期発見し、病状に合わせた治療を正しく行うことができます。

検診で異常を指摘されたら、迷わず受診を。

「腎ぞう病」の多くは、風邪や胃腸炎のように目に見える自覚症状(咳・嘔吐など)がなく、診断には専門性が求められる分野です。検診で異常を指摘されても“今は元気だから”と放置せず、子どもの「腎ぞう専門医」がいる病院へ受診することを勧めています。
当院には2021年4月から常勤医として「腎ぞう専門医」が勤務しています。
異常がみつかった場合には、“どのような異常があり、どのような病気であるか”“今後どうしていくべきか”についてわかりやすくご家族の方や本人へ説明をします。質問しにくいときや忘れたときには看護師や医師補助事務員に質問をしていただいてもかまいません。

多くの「腎ぞう病」は自覚症状がなく、いつもと変わらない子を目の前にして病気であることが信じられないご家族の方もいます。大事な点は、外見で判断をせず一度は専門医へ受診をすることが大切です。