医師インタビュー

脳神経外科 対応疾患と脳ドックの勧め DOCTOR’S INTERVIEW 脳神経外科 対応疾患と脳ドックの勧め DOCTOR’S INTERVIEW

DOCTOR
PROFILE
脳神経外科 岩越 孝恭 TAKAYASU IWAKOSHI
出身大学 |
  • 高知医科大学医学部 卒業
資格など |
  • 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
  • 日本脊髄外科学会 認定医

脳神経外来で対応している疾患は何ですか?どんな症状が多いですか?

主に脳血管障害慢性期のfollow-upや頭部外傷などを診察しています。直接受診を希望される患者さんは全て受け入れています。その上で当科で対応していない疾患に関しては神経内科や他科または他院に相談しています。
初診の患者さんの受診理由は「頭痛」、「しびれ」、「めまい」等が多いです。なかには、急性期脳梗塞や急性期脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫など直ぐに対応する必要がある患者さんも含まれ、入院治療や手術を行っています。
脳血管障害(脳梗塞や脳出血)の症状は障害を受けた脳の部位によりますが、多くは左右どちらかの麻痺(片麻痺)、呂律困難、失語症(言葉が出ない、理解できない)、半身のしびれなどです。

脳ドックの目的はなんですか?

脳ドックの目的は、脳の病気を無症状のうちに発見し対応する事です。
最も重要な役割は「脳卒中の予防」で、症状のないうちに脳卒中になりやすい病態を発見し早く対応する事です。例えば大事な脳血管が細くなり脳梗塞になりやすい状態を発見して予防薬を投与したり、手術により血管を広げて脳梗塞の予防に繋げます。
また、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤を見つけて今後の治療方針を決定します。時には脳腫瘍や脳動静脈奇形などの脳神経外科特有の疾患もみつかり今後の治療につなげます。

脳神経外科でよく撮影するCTとMRIの違いを教えてください

CTのメリットとデメリット

CTはX線を使って画像化します。
CTのメリットは、

  • 検査時間が短い(多くの患者さんを撮影できる。体動のある患者さんなどに有利)。
  • 密閉感が少なく閉所恐怖症の患者さんでも撮影できる場合が多い。
  • 出血や骨折の診断が容易 などです。

CTのデメリットは、

  • 急性期脳梗塞診断(梗塞になっても一定時間経過しないと所見が得られない)。
  • 放射線被曝がある(繰り返し撮影する場合に問題となる事がある)。
  • 頭部CTでは骨の影響で脳幹部病変の診断が困難な場合がある。
  • 多発性脳梗塞の場合新しい梗塞巣の特定がしにくい場合がある などです。
MRIのメリットとデメリット

MRIは強い磁石と電波を使って画像化します。
MRIのメリットは、

  • 急性期脳梗塞の診断が容易。
  • 多発性脳梗塞の場合新しい梗塞巣の特定ができる。
  • 骨の影響を受けにくい(CTでは見えない骨内の構造物や病変まで見える)。
  • 時に撮影するMRAにて血管の評価ができる などです。

MRIのデメリットは、

  • 密閉感が強く閉所恐怖症の患者さんは検査が困難。
  • 撮影時間長い。
  • 体動がある患者さんは鮮明な画像が撮影できない場合が多い。
  • 心臓にペースメーカーが留置されている患者さんはそのままでは撮影できない。
  • 磁気に反応する金属が体内に入っていれば影響を受ける などです。